「2006年8月20日」
の時を刻んだまま止まっていた心の中の時計が、試合終了のホイッスルと同時に再び動き出し、そして成仏するかのように静かに消えていった。
「2008年8月17日」
杉小ファミリーにとって、この日は永遠に忘れる事の出来ない日になるだろう。
もう、言葉では何をどう表現したらよいのか分からない程の瞬間を体験する事ができた喜びと、この歴史的瞬間に立ち会えた喜びをワタクシは噛みしめていた。
「全国制覇!!」
杉小キャイーンブラザーズの明確な目標になっていった全国制覇。
ただ、夢とは言っても、正直その頃はまだ現実味を帯びていない夢でもあったのかもしれない。
10代目までの10年間で3度の全国大会出場を果たしていた杉小キャイーンブラザーズだったが、惜しくも3度とも予選で敗退してしまう。
そして、11年目の夏に4度目の全国大会に出場したものの、ここでも99%予選落ちの状況となった。
「やはり全国の壁は高いんだなぁ…。」
そう思った次の試合で5人差勝利により、得失点差で奇跡の予選通過をする。
そのまま、あれよあれよという間に勝ち上がって準優勝という成績を残した11代目キャイーン。
この日、全国大会の頂点は「高いようで低く、低いようで高い」という禅問答のような経験をする。
今思えば、あの時の奇跡から始まった全国大会決勝トーナメントを勝ち進んだ経験、そして決勝で敗れる悔しさという経験が、現行13代目キャイーンの選手達に色濃く植えつけられていったのだと思う。
その後、12代目キャイーンとして1人の6年生キャプテンと一緒に戦い抜き、杉小初の春の全国大会へと出場。優勝チームと互角の戦いを見せながらも惜しくも敗れ、春の全国大会ベスト16という見事な成績を残す。
その2年間のあいだに積み重ねられた経験が、明らかに今大会の随所に現れていた。
準々決勝、決勝戦、過去と同じような状況に陥った時の選手達の気合いの入った表情そしてプレー。
それは、
「もう二度とあの時の悔しさを経験したくない!」
という思いが無意識のうちに頭をよぎったような必死な表情であった。
決勝戦、史上初と言われる2セットのサドンデスにおいて1セット目を取り、2セット目を取られてのフルセットになる。この時点で杉小ファミリー、そしてOB・OGの多くの人の脳裏に2年前の悪夢が蘇ったと思う。
11代目のシンペーなんかは、
「何だよ!2年前と同じジャン!!こりゃ、やばいな!!」
と大声で言って、9代目のマキ姉さんにしこたま怒られていた(笑)
ワタクシはというと、実はもう少し前の段階で不安がよぎっていた。
Cコート(応援サイドも位置もほぼ同じ)で準決勝を2セット連取した瞬間、ふとAコートで行われている決勝戦での対戦相手が決まる準決勝を見た時に、「オオハタブレイカーズ」VS「天理ボンバーズ」がサドンデスで戦っていたのだ。それは、2年前のAコートの準決勝「ブルーインパルス明石」VS「ORBIT」のサドンデスとデジャブの如くバックリと被って見えた。
そして、先ほどの決勝のフルセットへと繋がっていくものだから、ワタクシの恐怖は一気に高まった。
正直言って、3セット目は見たくないような気すらしていた。
しかし、勇気を出して応援を開始!!劣勢スタートからシーソーゲームへ、そして最後は一気に突き放して、ついに夢の全国制覇を成し遂げた13代目キャイーン。
最後まで心が折れずに戦い続けた選手達の姿に、そして歴代キャイーン達が望んでやまなかった夢の実現に涙が止まらなかった。
幸い顔も汗だくだったので、泣いているようには見えなかっただろうけど(笑)
コート上で泣く選手達、声を上げて泣くコーチ達と保護者達、そして監督も必死にこらえているようであった。コーチ達も含め、夢の瞬間に立ち合った2代目、5代目、6代目、7代目、9代目、10代目、11代目のOB・OG達。
これはまさに、現在までの杉小キャイーンブラザーズの歴史の力が生み出した快挙なのだと思った。
息子がチームに入り、ワタクシがドッジボールを見始めた時代の8代目キャイーン。
チームを盛り上げる天才キャプテンのシュンスケ君を中心に、絶対的アタッカーのジャンボ君など、初めてドッジボールを見たワタクシに衝撃を走らせた8代目キャイーン。
続く9代目キャイーンは、監督さんの末っ子でキャプテンのトモヤ君が絶対的なアタッカーであり、そして実は歴代ディフェンスチャンピオンなのではないか?というほどの守りを見せていた。
そして、メンバーも強豪揃いだった9代目キャイーン。OGのマキちゃん、カネタ君、シュン君、ヒロト君などの現役時のプレーは今でも鮮明に覚えているほどである。かなりの強さのチームであった。
そして、孤高の天才カズヤ君と女房役のユウヘイ君、そして今大会応援に来てくれたシンイチ君、リカコちゃん達の10代目キャイーン。スタート時と卒業時の伸び幅がもの凄いチームだったと思う。
初期は予選落ちなどもあったほどだが、後半に優勝を連発していった。
そこに5年生選手で息子がいたワタクシにとって、今回の決勝での2セット目のサドンデスでアウトになった5年生のSすけ君のお母さんが号泣していた気持ちは痛いほどによく分かる。
それほど下級生選手とその親のプレッシャーというものは凄かった記憶がある。
そして今回多数のOB達が集結した11代目キャイーン。
安定した攻守で確かに強かったが、全国大会では予想外とも言える快挙で準優勝を勝ち取った。
キャプテンのタケを中心にして、攻撃、ディフェンス、パスカットと大変バランスが取れていたチームであった。
各大会、そして全国準優勝の原動力ともなった天才パスカットマンのユウキは、10代目キャプテンの動きを自分で練習して身につけたという話を聞いた事がある。このあたりが伝統の力というものなのだろう。
12代目キャイーン。
6年生の面倒見のよいキャプテンのヒサトシと11代目から持ち上がった5年生で編成された12代目キャイーン。力はあるものの、ライバルチームになかなか勝てずに苦しんだ12代目。
後半にくすぶっていた本来のパワーが目覚め、優勝を連発し出して春の全国大会でマックスになる。
木曽岬ラッキーキッズ戦は、本当に見事な戦いだった。
そして、13代目キャイーン。
歴代キャイーンの集大成となる、最強の杉小キャイーンブラザーズ。
この全国制覇の瞬間の感動は、ワタクシは一生忘れる事がないだろう。
サブタイトルにしていた「全国制覇への挑戦」。
今、胸の内を明かせば、すべては2年前の夏のあの悔しさこそが、今の今までワタクシにキーボードを叩かせるエネルギー源になっていた。そして、その最後の夏のリベンジを、同じ場所で同じ涙を流した13代目キャイーンの選手へと全て託していた。
だからこそ、当日あれほどまでに緊張し、昼飯も食べれない状態だったのである。
ワタクシにとって、自分ではとり払えない怨念を消し去る事のできる最後の夏だったのだ。
そして、それらの全ては、あの爆発的な歓声と感動の中で、完全燃焼していくのを感じた。
チーム全員の夢が叶った。
監督は日本一のチームの監督になった。
コーチ達も日本一のチームのコーチになった。
ワタクシにとって、これほどまでに嬉しい事はない。
あの瞬間から、もう今は何も頭に浮かんでこないし、この文章もいつもの数倍時間がかかって書いている。
歴代の回想シーンが急に頭に沸いてきたのも、おそらく最後の走馬灯のようなものなのだろう。
ワタクシは、初期キャイーン〜中期キャイーンまでをコーチ達から話を聞いて書き、中期〜現在までのキャイーンの歴史を自分の言葉で伝えてきた。
去年や今年のチームの事なら、大抵の人達は分かっている事だと思う。
しかし、戦争経験者や被爆体験者ではないが、誰かが伝えていかなければ、歴代のOB・OG達が戦ってきた輝かしい歴史が風化してしまうと思ったからである。
そして今、このブログもワタクシの中では役目が終わったと感じている。
チームとしては、これからも新しい歴史と挑戦がはじまる。
それはしばらく文章に残さずに出来るだけ頭と心に蓄積させながら、一緒に時間を共有し共に戦って応援していきたいと思う。何故なら、文章では残せないニュアンスというものがあるし、公の場に公開するものには、さらなるいろいろな制約が絡んできて、尚更伝わり難いものになっていくからである。
また、日常的に書き続けていると、どうしても惰性で書く回や内容が浅い回が増えてきてしまう。
説明文で構成された歴史の文献的な存在になっていくよりも、語りべとして残ろうと思ったという事もあるのだ。さらに思い出というものは、多少心の中で熟成させたほうが、より美しくなると思っているので、すぐに文章にしてしまうのも勿体無い気もしたからである。
現在のチームに1年生の選手がいる親として、その次の時代へとまた語り継げるように…。
そんな理由から「GAME OF DODGE」は今回をもって、一旦封印しようと思います。
よほど何かのきっかけがありましたら書く事があるかもしれませんが、恐らく当分無いと思います。
チョットした事でしたら掲示板で十分だったりしますので(笑)
こんなブログでしたが、もし楽しみにしていた方がおられましたら、唐突な休止で大変申し訳ありません。
時間的な余裕が無いというのも、理由の一つなものでして…。
これにて「GAME OF DODGE」の最終回とさせていただきます。
皆様、これまで読んでいただきまして本当に本当にありがとうございました!!
杉小管理人
今まで読んで下さっていた皆様、本当にありがとうございました!!
最後なので関係ないですが、せっかくですので(笑)
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